あの日、長時間ブラックアウトで水道は止まったか!?
札幌市では、以下の水道の給水方式を取っている。
- 直結給水方式
- 直結加圧方式(直結増圧給水方式)
- 受水槽方式
今回、この水道の給水方式によってそれぞれの運命が分かれていた。
北海道胆振東部地震 が起きた9月6日午前3時7分 から、朝まで眠れぬ夜を過ごした。自宅マンションも大きな揺れを感じて、電気を点けて被害がないか確かめる。スマホの地震警報情報を見て、テレビのスイッチを入れる。
次の瞬間、突然の停電。
小さな仏壇の横に置いてある、LEDの充電式ランタンで灯りをとる。次の余震に備えて、玄関の戸が開くのを確認、窓が開くことも確認。普段よりテキパキしてた気がする。
いつもよりも、揺れが長く感じたので、マンション全体に及ぼした被害はわからない。
窓を開けてまわりを見ると、あたりは真っ暗だった。
暫くすると、いくつかの家やマンションの窓から小さな灯りが点になって見えた。
空を見上げた。真っ暗な地上と夜空が同じくらいの色で見えるのは、いつの頃だったか記憶がない。人工の光がない世界、不謹慎だがいつも以上に夜空が綺麗にそして明るくみえた。
5年ほど前に、受水槽方式から変えたばかりなので、水道管の耐震化を含めて破裂や断水には心配がいらなかった。
一応、明るくなって来たのでマンションに異常が無いかだけ確かめに外の様子を確認した。
そして、水道の水が出る事を確認した。
札幌市で70年代~80年代にかかて作られたマンションを見ると、まだ高層ビル建築が許可されていない時期にあたり、5階建てまでのものが多く現存する。我が家もそのひとつで、古くはなっているにもかかわらず何度かの大規模修繕工事を経ていて居心地がいい。
古いマンションの場合、ライフラインの配管の工事などが、ちょうどこの年代に取り替えの時期と重なる。なかでも、古い規格の金属製の水道管は、サビによって配管が狭くなっていたり、接合部の腐食からの水漏れなどがおきてくる。
ちょうど6年ほど前だろうか、水道に関する懸案事項がマンションの理事会にあがった。水道の水圧や、腐食による水漏れ等。建設当時主流だった「受水槽方式」で地下から各戸へ分配していたものだった。
水道管とともに、水を汲み上げるモーター出力も落ちて来ていたし、受水槽のある地下の湿気を防ぐ換気扇のモーターも弱っていた。
朝、早めに会社に出勤する。
家の中は本棚から無動作に積み上げてあった書籍が数十冊落ちたくらいですんでいた。
停電は解消されていないのだが、朝、会社の事務所へ急ぐ。
一通り点検をすると、ほぼ地震による被害はない。
会社は4階建てマンションの1階にある。
住民の人達は車で出かけていく、そして暫くすると帰ってきて・・・それを何度か繰り返している。
共通して見える姿は、ポリの買い物袋に入れてあったり、段ボールに入れた荷物を抱えていたりした。
はじめは、開いている店を何軒か探して購入しては、帰ってくる繰り返しをしているのかと思っていた。その予想は、少しだけ当たっていたが、概ね間違いであった。それは近所の人達の井戸端会議の会話からわかってくる。
居住区であるマンションのエレベーターは止まっている。
何度も繰り返し上り下りする階段の往復は、大変そうに見えた。幸いまだ年配者を見かけていないのが何よりだった。休みとなった小学生が荷物を上げる手伝いを一生懸命している。
事務所の中は、停電なだけで、大きく落下したり破損した被害もなく安心した。自宅と同じように、水道の蛇口をひねるといつもの勢いで出てくる。
レジが動いていたセブンイレブンは、商品棚に品物なし!
電子マネー「nanaco」の入ったスマホと1000円札を握りしめ近くのセブンイレブンへ行く。
駐車場の出入りは頻繁で店内も混雑している。
思った通り、店内には買えるものがごく僅かとなっていた。
特に、高価なモバイルバッテリーや乾電池は完売だった。
ペットボトルのコーヒーが残っていたので、購入することにした。
レジが正常に動いている。
帰り道、近くのマンション住人の話声が耳に入った。
電気が止まって水が出ないという。
そこでピンときた。
ここら辺のマンションは、古くからあるので、受水槽式の水道なのだろう。
会社の上の階も同じなのだろう。
幸い、1階の会社事務所は、水が止まっていない。
水道の開放を決めた。
住人の子供達が、2Lのペットボトルを何回にも分けて汲みにきた。
ここなら、子供でもできる仕事になった。
昼食のために一度家に戻る、ここにいても食事がとれないからである。
その帰り道、スーパーでは、レジが動かないので店頭(場外)販売で買い求める客を受け入れていた。 同時に、公園で水を汲む行列を見ていた。
「こんなに、水を求めている人がいるんだ・・・」
本当は、今日は仕事にならないし家に帰っても良かった。
しかし、もう一度会社に戻る事を決めたのは、水が出ない家庭がこんなに多い事に気づいたからだ。
午後からも、数人の人が利用した。
階段を使った水くみは、たとえ近くに給水車が来ても大変だろう。
階段があるなら、あまり重くならない容器で何度かに分けて持って行きたいのだろが、それも、給水車などの利用に長蛇の列の後では、限界もあると思った。
このような、水難民を少なくするのは、やはり札幌市の役目だと思う。当日は気温が高く雨でなかった事が幸いしたが、冬だったら様相は違った景色があったはず。
私の住んでいるマンションは水道管の取り替え時期にあり改修されていたため難を逃れたが、受水槽方式のマンションはまだまだ多くあるはずで、なんらかの形で弱者へ手を差しのべることができるはずである。
今回は地震が引き金になったが、電気は長時間停電することがわかった。これからは、想定できる事に変わったという事である。200万人弱の人口を抱える政令指定都市であり、一軒家以外にも高齢者が住んでいる。
この地域は早くに停電が解消された。
午後3時過ぎに、電気が開通して水の断水とエレベーターの停止が解消された。
それでも、このまま停電が再び起きることなくすむのか判断に迷った。この時点で役割は終えたのだが、一応18時頃まで会社の中で待機していた。
それと、電気が付いたので、今まで使っていた、充電できるものはすべてあらためて行っておくことにした。
自宅のマンションエリアはまだ停電地区だった
家にもどると、まだ停電が解消されていない地区だった。暗いながらも、いつまた停電になるかもしれないと会社で充電しておいたLEDランタンやスマホバッテリーがフルに活躍してくれた。
情報は、今までモバイル通信ネット環境とラジオだけだったので、ワンセグで画像情報をと思ったが、著しくバッテリーを消耗するのでアプリからabemaTV(アベマTV)の通信節約モードで閲覧することにした。
全国放送であるネットTV(abemaTV)などは、地元のローカルな情報を取りにくいというが、Facebook、twitter、LINEなど情報と合わせると十分な内容だった。もっと地元情報を知りたければ、車のナビに付いたフルセグを見ればすむという安心感があった。
札幌市のハザードマップ(災害危険箇所図)
札幌市は、緊急用に1人3Lの水の備蓄を推奨している。
我が家は、夫婦二人なので6Lというところ、断水のデマも飛び交っていたので、一応「非常用飲料水袋」に入れて保管をした。
余震が続いているので、緊急避難用にリュックの用意をしてある。中身は、登山の時に使うものと、2日間分の食料。
水道の水が不自由なく使える安心感は違うという事がわかった。札幌市内が断水するというデマも飛び交って広がっていたことも確か。本当に長期にわたって断水したらと考えると「保存水」の用意もしておきたい。
5年ほど保存が利くので、少し大きいサイズをおいとくことも検討してみようと思う。地震以外でも台風などでも、一時的になくなることもあるので気づいた時に購入がベストだろう。2Lサイズのペットボトルの「超長期保存水 12年保存 」の選択も入れ替えの手間を考えるとイイかも知れない。
この機会に、札幌市が発行している「災害危険箇所図(ハザードマップ)」にも目を通しておくことが、備えになると思う。自分が住んでいる場所が液状化の予想される土地かもおおよそわかる。